焼津の家 [数寄屋]小屋NO.1
1999,10-2001,03

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この住宅は静岡県の焼津港近くの住宅地にある。 全体計画として、一般的な軸組工法を2階までとして、小屋組は、桁行き方向のみと垂木方向の面材でもたせているいわば特殊工法で構成されている。大きな切妻屋根で覆った躯体の中に、一階部分の直方体を貫通させている。また直行させないことから生まれる空間のずれは、一階から見上げるだけでなく二階に至ってさらに増幅される。二階からスパイラル階段にて富士見台に登り、住宅地の屋根越しに富士山を望むことができる。切妻の大屋根で最も高い位置であり、家の中心的場所でもある。銅板一文字葺といぶし瓦をのせた大屋根は、一見数奇屋風にみせている。小屋裏は、外断熱工法により、意匠として表に出すことができ、軒と小屋は薄い透明ガラスによって区切られているだけで、内外の区別を曖昧にしている。 施主はお茶を教えていることか

ら、八畳広間の茶室を設けている。 この茶室は、利休の「侘び、さび」でもなく、遠州の「奇麗さび」でもない新しい茶室にしたかった。書院風の長押は付けず、天井は「八重山」にちなんで波天井にしている。床柱は八寸角の欅の古材を採用し、新しい空間に、時間軸を投入している。 生活空間として、閉じた空間(寝室、茶室、水廻り)と開いた空間(玄関、LD、キッチン、多目的ルーム)を明確に区切ることによって、オープンでありながらプライベートが確保されている。また、一階に於けるバリアフリー(道路からのスロープ、玄関引戸、段差のない床、玄関にあるベンチ、上框のない廊下、段差のない浴室、火を使わないIH、床暖房、寝室に直接入る郵便ポスト、寝室に接した便所、総ての扉は引戸等)を徹底し、高齢の施主にやさしい住宅を心掛けている。この住宅の大屋根の存在感は、見え隠れするいぶし瓦によって、より強調されることになる。

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